TQM(総合品質管理)を指導する先生が品質保証を論じても、商業簿記・工業簿記とTQMとの紐づけの論点が無ければ、それにはどの様な意味があるのだろう?

TQMでは様々な説が対立する「品質保証」ですが、説の対立がある主観的であれ、客観的であれ、総合品質管理(TQM)の先生は、簿記と総合品質管理との紐づけの論点を組み込んだ、個別原価計算、部門別原価計算、総合原価計算などの指導が行われていると思います。差異分析にもTQMから見た論点があるのでしょう。

策定された計画の期間に対して、1年以下の期間を短期計画、1年を超える期間を長期計画とするものに対して、「1年を超えたらば長期とするのは期間が短すぎる」のコメントを言うだけのTQMの先生だと、「それが主観的なTQMであれ、客観的なTQMであれ、何故、根拠を見つけないのだろうか?」と思う事があります。当該事例だと財務担当による主導が見られます。

法務、総務、財務・経理の部門では、なぜなぜ分析と称して「なぜ、なぜ」と5回繰り返しても、それによって答えは出ませんが、法令に基づく要件の確認は行います。

■  引当金の要件;簿記では次の4つの要件を満たせば、引当金として計上できる。

(1)将来の特定の費用又は損失として、

(2)その発生の可能性が高く、

(3)その金額を合理的に見積もることができ、かつ、

(4)その発生が当期以前の事象に起因していること。

■  TQM(総合品質管理)の品質保証は、会計の勘定科目にも根拠が見られます。但し、「商品(製品)保証引当金」で設定する金額の根拠は、直接部門の客観的データ無しに仕訳だけでは決められません。

品質保証契約に基づく将来の一定期間内の無料修理への備えとして、間接部門では、「商品(製品)保証引当金」「商品(製品)保証引当金繰入」「貯蔵品」(「貯蔵品」は、部品購入時には借方、修理時には借方)など、決算手続で仕訳を行います。

直接部門が用いる、商品、製品の品質保証の概念に対して、会社の間接部門では会計の勘定科目を用いて、

1、B/Sの「負債」の部の勘定科目、① 商品保証引当金(商品の保証のために備えてある引当金)、② 製品保証引当金(製品の保証のために備えてある引当金)

2、P/Lの「収益」の部の勘定科目、① 商品保証引当金戻入(予定していた保証がなされず、保証への備えを取り消すもの)

3、P/Lの「費用」の部の勘定科目、① 商品保証費(商品の保証のための修理などの金銭)、② 商品保証引当金繰入(商品の保証への備えを用意する分)、③ 製品保証引当金繰入(製品の保証への備えを用意する分)

品質保証契約に基づく「商品(製品)保証引当金」「商品(製品)保証引当金繰入」を決算手続で計上するのは、商品、製品を「販売」した会計期間における負債の増加、費用の増加として見ています。次期になって実際に「商品(製品)保証引当金」(負債)を取り崩した場合は、あくまでも前期の決算手続において設定した「商品(製品)保証引当金」であり、前期に売上げた商品(製品)を対象とします。

「商品(製品)保証引当金」を設定していない当期の販売分には、「補修費」又は「商品(製品)補償費」(共に販管費)を用います。

品質保証契約に基づく将来の一定期間内の無償修理に備えるには、「貯蔵品」の計上も行われます。「貯蔵品」は、部品購入時には借方、修理時には借方。⇒  品質保証契約に基づく無償修理に備えるためには、直接部門の客観的なデータ無しに、仕訳だけでは決められません。購買には消費税の支払いもかかっており、それは販管費にも表れます。

貯蔵品の多額の廃棄損に対するリスク回避からは、貯蔵品とした部品の仕様変更にかかる情報収集を、どのような時期に・どのような影響が起こり得るか・どのような方法で知り得るか、それをどの部署と情報共有するか。上申を要する場合は、いつまでに、どの部署が行うか。